住宅品質確保の促進等に関する法律

Q 住宅の晶質確保の促進に関する法律というのが出来たそうなんですが、どんな法律でしょう。
A その法律の主な内容は、①あらゆる住宅の基本構造部分の瑕疵担保期間を一〇年とする。②構造耐力、遮音性、省エネルギー性等、さらに高い品質の住宅を求める場合に「住宅性能表示制度」を創設する。③性能表示を受けた住宅にかかわるトラブルは、各弁護士会を指定住宅紛争処理機関として処理する。の三本柱となっています。
Q この法律の出来た背景は何ですか。
A 一応、我国も住宅の量としては充たされ、空家も多くなっているが、その質においては欧米に比べ見劣りすること。阪神の地震のとき、中間検査を受けた公庫融資対象の家は倒れなかったのに、見かけは立派でも多くの新築の家が倒れたことから、多くの建築業者が確認のときだけ合格図面を出して、途中手抜き工事をやっている事実が判り、建築紛争の多くが業者に責任があることが判ったこと等にあります。
Q 住宅性能表示はどのようになされるのでしょう。
A この申請がなされた場合、公平な第三者により建築途中もチェックされ、その資料が保存されます。
そして、住宅性能評価書が検査済証の交付を前提として最終検査後に交付され、この内容は契約内容となります。
Q 住宅であれば、一戸建でもマンションでも両方適用されますが、請負と売買で区別がありますか。
A 法律の適用につき、それらで区別されません。
Q それらのいわゆるマル適住宅が便乗値上げの対象になるのではないかと心配なのです。
A 品質検査を指定住宅性能評価機関が行い、又紛争が生じたとき二万円位の申立料で、あとは無料で解決して貰う費用として一戸二〇〇〇万円であれば一〇万円位業者施主との共同負担でプールして頂きますが、それ以上は高くなってはいけません。
むしろ一〇万円位払うことにより構造耐力や耐火性、遮音性、省エネルギー性等に優れたことを保証された住宅が手に入ることは、それ以上の安心を得ることが出来ます。
Q 指定住宅紛争処理機関として弁護士会が指定されるということですが、お役所が弁護士会を指定するというのは珍しいのではないですか。
A そのとおりです。建設省としては、紛争処理は中立迅速でなければならず、その点業者型の機関や行政型の機関では評判が悪いということで弁護士会に白羽の矢をたててきました。
Q 弁護士会の責任は重大ですね。
A そうです。この法律の施行は平成一二年四月一日になっていますが、性能評価書第一号が交付されるのが七月頃と予定され、実際のトラブルが弁護士会に持ち込まれるのは一〇月頃と予測されていますが、各弁護士会は態勢を整えている処です。
同時に弁護士会は自治権を有する団体ですから、紛争処理に関する秘密保持や会計の点以外は行政庁の介入を受けないことになります。こうした信頼を受ける基となったものとして弁護士会のあっせん仲裁センターが一定の実績をあげてきたことも言っておかねばなりません。

高金利の支払い

Q 貸金の金利は利息制限法で上限が決められているそうですが。
A 貸金の金利は、利息制限法により元本の額が一○万円未満の場合には年率二〇パーセント、一○万円以上一○○万円未満の場合には一八パーセント、一○○万円以上の場合には一五パーセントまでと定められています。又、遅延損害金の利率は右の利息の利率の二倍までと定められています。
Q もし、上限を超えた利息や損害金を支払ってしまった場合はどうなりますか。
A 実際の金銭貸借では利息制限法を超える利息や損害金が定められることがよくあります。このような場合には、最高裁判所の判例によって、利息制限法に定められた利率を超えて支払われた利息や損害金はその超えた部分について元本に充当されることとされています。
Q 貸金業者にはこれよりも高い金利が許されているのではないですか。
A 利息制限法とは別にいわゆる出資法という法律により、貸金業者が貸付を行う場合には年率四○・○○四パーセントを超える利息や損害金の契約をすることや受領をすることが禁止されていますが、これは、それ以上の利息や損害金を約束したり受領したときは、そのことが犯罪となり貸主が罰せられることを定めたものです。(なお、この利率を引下げることを現在国会で検討中です。)
なお、日賦貸金業者や電話担保金融の場合にはこれ以上の利率となっています。
Q 利息制限法を超えても有効とされることがあるそうですね。
A はい、あります。「貸金業の規制等に関する法律」は、登録を受けた貸金業者が、年率四○・○○四パーセント以下の利息、損害金を約束をした場合に、法律で定められた内容の契約書面を借主に交付し、かつ、支払いを受けるたびに法律で定められた内容の受取証書を交付して、これに対して借主が異議を述べないときには、利息制限法を超える部分の利息、損害金についても有効な支払となる、即ち、元本に充当する必要はない、と定めているのです。
Q このことについての裁判所の取り扱いはどうなっていますか。
A 裁判所は、利息制限法の利率を超える支払が有効な利息、損害金となるための要件を非常に厳しく考えています。
裁判所は、契約書面や受取証書の内容について厳格に審査をしており、又、銀行送金や現金自動貸付返済機(ATM)による支払いの場合にも受取証書を発行しなければ有効な弁済とはみなさない等と、判示しています。従って、有効な弁済と認められることはそれ程多くはありません。
Q 借主として注意しなければならないことは何ですか。
A 利息制限法を超える利息、損害金の弁済が有効な弁済と認められることが少ないと言っても、借主のほうで返した事実を立証しなければ利息や損害金が元本に充当されることはありません。貸金業者が過去の取引の明細のすべてを明らかにしてくれればよいのですが、必ずしも期待できないので、返済したことが証明できるように受取証書や送金の控えを保管しておくことが大切です。
借入金額が多くなり返済が困難になったときは早めに弁護士に相談することをお勧めします。


父より先に子が死亡したときの父の遺言書の効力は

Q 父が最近亡くなりましたが、その相続人は配偶者と長男と次男です。長男に一億円の預金を相続させると遺言したあと、長男が父より先に死亡したとき、長男の子つまり遺言者の孫が右の一億円を代襲相続できますか。
A 結論からいうと、代襲相続できません。
Q どうしてですか。
A 遺言書の記載から、長男が遺言者の相続開始以前に死亡したときは、長男の代襲相続人に相続させる旨の意思が認められなければ、その遺言は効力を生じない、というのが判例です(東京地裁平成六年七月一三日判決、金融・商事判例九八三号四四頁)。
Q その一億円はどうなりますか。
A 一億円は相続人全員により相続され、遺産分割の対象になります。法定相続分により相続されたとすれば、配偶者が五千万円、長男の子(遺言者である父から言えば孫)と次男が各二千五百万円を相続することになります。
Q では長男が遺言者より先に死亡したとき、長男の相続分を長男の子、すなわち遺言者の孫に代襲相続させるにはどうしたらよいでしょうか。
A 遣言書の中に、遺言者の長男に相続させるが、万一遺言者より先に長男が死亡したときは、長男の子に長男に代わって代襲相続させる旨記載しておくべきです。
Q もし遺言書に、右のような代襲相続させるとの文言がないときは、どうすればよいでしょうか。
A 長男が死亡したら、ただちに新しい遺言書を書いて、遺言者の孫に代襲相続させる旨定めなければなりません。遺言書が二通ある場合は日付の新しい方が有効ですから、前の遺言を撤回すると書き忘れても新しい遺言書が有効になります。
Q 前の遺言書があるのですから、新しい遺言書は、改めたい部分だけを記載するとか、多少形式等に不備があっても差し支えありませんか。
A いいえ、駄目です。きちんとした遺言書を書いておくべきです。